「クレーターだからとりあえずこの治療」と決めてしまう前に、まず知っておいていただきたいのが、クレーターには種類があるということです。ニキビ跡のクレーターは、形と深さによって大きく3つのタイプに分けられ、タイプごとに効果の出やすい治療法が異なります。
この記事では、ニキビ跡治療を専門とするSERA BEAUTY CLINIC(恵比寿)院長・世良融子が、クレーター3タイプの見分け方と、それぞれに適した治療法、そして当院が複数の機器を組み合わせる理由を解説します。
目次
- ニキビ跡のクレーターとは?できる仕組み
- クレーターの3つの種類|アイスピック型・ボックス型・ローリング型
- クレーターと一緒に残りやすい「色味」のニキビ跡
- クレーターのタイプ別・治療法の考え方
- 当院が「複数の機器を組み合わせる」理由
- 治療の回数・間隔・ダウンタイムの目安
- 自分のクレータータイプを知るには|診断から治療までの流れ
ニキビ跡のクレーターとは?できる仕組み

ニキビの炎症が強く起こると、皮膚の真皮層がダメージを受けます。本来であれば修復されるはずの組織が正常に再生されず、線維化した瘢痕組織が残ってしまった状態が、いわゆる「クレーター(萎縮性瘢痕)」です。
クレーターの中には、皮膚の下にできた線維組織が皮膚を下方向に引っ張っているものがあります。イメージとしては、皮膚が内側から紐で引っ張られているような状態です。この「癒着」の程度や深さ、形によって、クレーターはいくつかのタイプに分類されます。
院長・世良がよく患者様にお伝えしているのは、「ニキビが火事だとすると、クレーターはその焼け跡」という例えです。火事(炎症)が大きいほど焼け跡(癒着)も深く広くなります。膿をもってジュクジュクした熱感のあるニキビは、クレーターにも色素沈着にもなりやすいため、ニキビの段階で治療することが何より大切です。
クレーターの3つの種類|アイスピック型・ボックス型・ローリング型

アイスピック型(氷の錐で刺したような深い凹み)
針で刺したように細く深い凹みです。開口部は2mm以下と小さいものの、深くまで達しているため、ニキビ跡治療の中でも最も治療が難しいと言われるタイプです。こめかみや頬に点在することが多く、「他の部分はきれいなのに、ここだけ気になる」という相談もよくあります。
ボックス型(角の立った箱型の凹み)
箱のように角が立ち、境界がはっきりしているクレーターです。浅いものから深いものまであり、大きさもさまざまです。エッジ(縁)の段差が目立つため、光の当たり方によって影ができやすいのが特徴です。
ローリング型(波打つようになだらかな凹み)
複数のクレーターが重なり、肌が波打っているように見えるタイプです。皮膚の下にある線維組織が皮膚を引っ張ることで生じるため、癒着を解除する治療が効果的です。ボックス型とローリング型は、アイスピック型に比べると比較的治療しやすいタイプです。
3つのタイプが単独で存在することは少なく、ほとんどの方はアイスピック型・ボックス型・ローリング型が複合的に混在しています。さらに、クレーターの周囲に赤みや茶色い色素沈着を伴うケースも多く、当院では「凹み」と「色味」の両方を診て治療計画を立てます。
院長がこのテーマを動画で解説しています。
院長のInstagramでも解説しています:【DR.SERAのタイプ別 症例解説】「ニキビ痕、一番いい治療は?」
クレーターと一緒に残りやすい「色味」のニキビ跡

ニキビ跡と一言で言っても、凹みだけでなく「赤み」や「茶色い色素沈着」もニキビ跡に含まれます。茶色い色素沈着は炎症後色素沈着(PIH)と呼ばれ、肌がニキビの炎症から自分を守ろうとしてメラニンをつくった結果、そのメラニンが残ってしまったものです。
院長・世良の考えでは、クレーターと色味を比べると、色味のほうがホームケア・内服・レーザーやニードルRFでアプローチしやすく、改善も早い傾向にあります。一方で、凹んでしまった部分をつくり直すクレーター治療は時間がかかります。そのため当院では、凹凸系のニキビ跡は早めに、優先的に治療を始めることをおすすめしています。
色味のニキビ跡について詳しくは、別記事「ニキビ跡の色素沈着の治し方」もあわせてご覧ください。
クレーターのタイプ別・治療法の考え方




クレーターの治療には、炭酸ガス(CO2)レーザー、サブシジョン、ダーマペン、マイクロニードルRF(ポテンツァなど)、CO2マイクロサブシジョン(トライフィル)、ジェット噴流による剥離(キュアジェット)など、さまざまな方法があります。大切なのは「どの機械が一番良いか」ではなく、クレーターのタイプと肌質に合わせて、何をどう組み合わせるかです。
ローリング型・ボックス型:癒着の剥離と肌の再生
皮膚を引っ張っている線維組織を剥離(サブシジョン)し、そこに空間をつくって薬剤を届ける治療が中心です。当院ではトライフィルによるCO2マイクロサブシジョンで癒着を剥がし、CO2のボーア効果(CO2が増えることで酸素の供給が促される作用)で肌の再生を後押しします。ポテンツァを同日に組み合わせることで、高周波の止血・引き締め作用によりダウンタイムを軽減しつつ、肌を柔らかくしていきます。
アイスピック型:深く細い癒着にピンポイントで
開口部が小さく深いアイスピック型は、面で治療するだけでは底まで届きにくいタイプです。当院では、ジェット噴流で癒着した組織を剥離しながら薬剤を届けるキュアジェットを、ポテンツァと組み合わせて使います。キュアジェットは単独では赤みのダウンタイムが長くなりやすいため、ポテンツァの高周波でダウンタイムを抑えるのが当院の基本的な考え方です。
肌全体がゴワゴワ・くすんでいる場合:まず「土台」を整える
クレーターがある方の多くは、肌全体のキメが乱れ、ゴワつき・くすみ・毛穴の開きを伴っています。この状態で凹みだけを治そうとしても結果が出にくいため、当院ではまずトライフィル+ポテンツァで肌に栄養と酸素を入れ、ハリ・ツヤのある柔らかい肌に整えてから、残った部分的なクレーターをキュアジェット+ポテンツァで仕上げるという段階的な進め方を基本にしています。
Dr.世良
【治療内容】トライフィル×ポテンツァ
施術医:世良 融子(SERA BEAUTY CLINIC 院長)
@sera_beauty_clinic @dr.sera_y
症例の詳細:他院で「このクレーターはもう治らない」と言われ諦めかけていた方。3回で改善、現在はキュアジェット×ポテンツァで深いアイスピック型へアプローチ中。
当院が「複数の機器を組み合わせる」理由

院長・世良自身、20代まで重度のニキビとクレーターに悩み、サブシジョン、CO2フラクショナルレーザー、ダーマペンなど多くの治療を自分の肌で経験してきました。その中で「単品の治療では頭打ちになる」「ダウンタイムが長すぎて続かない」という壁にぶつかり、たどり着いたのがトライフィル・キュアジェット・ポテンツァを組み合わせる現在の治療法です。
3つの機器はアプローチの方向が異なります。トライフィルは針とCO2で水平方向に癒着を剥がし、ポテンツァは針の先端から垂直方向に高周波と薬剤を入れ、キュアジェットはジェット噴流で深部の癒着を破壊します。これらを組み合わせることで、単独で行うよりも少ない回数で、かつダウンタイムを抑えながら変化を目指せる、というのが当院の考え方です。
また、どの治療も「毛穴に皮脂汚れが詰まったまま」行うと効果が出にくく、後からニキビが増えることもあります。そのため当院では、治療前にセラピールやハイドラジェントルで汚れを落とし、治療後にエレクトロポレーションで鎮静・保湿するところまでを一連の治療と位置づけています。
機器・薬剤の種類だけでなく、出力(RF値)、針の深さ、CO2の量、ショット数、導入する薬剤(リジュラン、ジュベルック、幹細胞培養上清液など)を毎回肌診断機の結果を見ながら調整し、院長が施術を行っています。
院長がこのテーマを動画で解説しています。
Dr.世良
【治療内容】トライフィル×ポテンツァ2回+キュアジェット×ポテンツァ1回
施術医:世良 融子(SERA BEAUTY CLINIC 院長)
@sera_beauty_clinic @dr.sera_y
症例の詳細:長年のニキビ跡。3機器を組み合わせて最短で改善を目指した症例。
治療の回数・間隔・ダウンタイムの目安

クレーター治療は1回で完結するものではなく、肌が再生していくサイクルに合わせて継続することが前提です。当院での目安は、1ヶ月に1回のペースで4〜5回、半年以内を1つのゴールとしています。トライフィルを単品で行う場合は最低5回程度、トライフィル+ポテンツァの併用でも最低3回、多くの方は5回程度を目安にご案内しています。
ポテンツァ単独では赤みは当日がピークで2〜3日で落ち着き、1週間ほどでツヤが出てくる方が多いです。いずれも個人差があります。
痛みについては、トライフィルは院長自身も「受けた施術の中でもトップクラスに痛い」と話すほどです。当院では表面麻酔と笑気麻酔を基本とし、痛みに敏感な方には神経ブロック麻酔や静脈麻酔も選択できます。
治療の効果を最大限にするには、間隔を空けすぎないことが大切です。「1回受けて3ヶ月空き、次は4ヶ月後」という通い方では、せっかくの変化が積み上がりません。1〜1ヶ月半に1回のペースを守ること、そして自宅での洗顔・保湿・紫外線対策・食事・睡眠を徹底することが、結果の出る方に共通する点です。
自分のクレータータイプを知るには|診断から治療までの流れ

自分のクレーターがどのタイプかを、鏡だけで正確に判断するのは難しいものです。当院では初回のカウンセリングで肌診断機による撮影を行い、院長が直接肌を診ながら「ここはボックス型」「ここはアイスピック型」とタイプを確認したうえで、治療の順番と組み合わせをご提案しています。
また、ニキビが現在も繰り返しできている方は、クレーター治療を先行してもいたちごっこになりやすいため、まずニキビ治療(場合によってはイソトレチノイン内服)を優先、または並行して進めます。
カウンセリングのみのご来院も可能です。「何から始めればよいか分からない」という段階でも、肌の状態を知ることが最短ルートの第一歩になります。
よくある質問
Q. クレーターは自然に治りますか?
A. 凹んでしまったクレーターは、自然に盛り上がることはありません。色味のニキビ跡はターンオーバーで薄くなることがありますが、クレーターはクリニックでの治療が必要です。
Q. どのタイプが一番治りにくいですか?
A. アイスピック型が最も治療が難しいとされています。ただし、ほとんどの方は複数のタイプが混在しているため、タイプごとに機器を使い分けて治療します。
Q. ダーマペンやサブシジョンでも治りますか?
A. いずれもクレーター治療に使われてきた方法ですが、当院では「擦る」行為による色素沈着のリスクや、サブシジョン特有の長いダウンタイムを考慮し、現在はトライフィル・キュアジェット・ポテンツァの組み合わせを中心に行っています。
Q. 何歳からでも治療できますか?
A. 年齢を重ねても治療は可能ですが、肌の代謝が高い若いうちのほうが結果は出やすい傾向があります。20代前半で治療を始めた方は、特に変化を実感しやすいです。未成年の方は親権者の同意書が必要です。
まとめ
- クレーターはアイスピック型・ボックス型・ローリング型の3タイプに分けられ、ほとんどの方は混在している
- 凹みはホームケアでは持ち上がらないため、クリニックでの治療が必要。色味より時間がかかるので早めの着手を
- タイプと肌質に合わせて、トライフィル・キュアジェット・ポテンツァを組み合わせるのが当院の基本
- 目安は月1回×4〜5回・半年以内。ホームケアと生活習慣が結果を左右する
SERA BEAUTY CLINICでは、ニキビ跡治療に特化した院長が肌診断機とカウンセリングでタイプを見極め、一人ひとりに合わせた治療計画をご提案しています。クレーターでお悩みの方は、まずカウンセリングにお越しください。
この記事の監修
SERA BEAUTY CLINIC 院長 世良 融子(せら ゆうこ)
2018年 川崎医科大学卒業/川崎医科大学附属病院勤務。2020年 同附属病院 泌尿器科学 臨床助教、同年 品川美容外科入職。2021年 品川美容外科 品川本院 部長。2024年 SERA BEAUTY CLINIC 院長。
所属学会:日本美容外科学会、日本抗加齢医学会、日本泌尿器科学会
主な学会発表・講演:2022年8月 第40回日本美容皮膚科学会総会・学術大会 講演「マイクロニードルRF治療機POTENZA導入後の当院での治療実績」/2023年5月 KALDAT(韓国レーザー皮膚毛髪学会)発表・パネルディスカッション
※ニキビ跡治療は自由診療(保険適用外)です。本記事で紹介する機器・医薬品には、国内で未承認のものが含まれる場合があります。効果・ダウンタイムには個人差があり、リスク・副作用については診察時に医師が説明します。