「イソトレチノインを飲めばニキビ跡も治りますか?」というご質問をよくいただきます。結論から言うと、イソトレチノインはニキビそのものを根本から抑える薬であり、できてしまったクレーターを直接治す薬ではありません。

しかし、ニキビ跡治療においてイソトレチノインは非常に重要な役割を持っています。それは「新しいニキビ跡を増やさない」こと。繰り返す炎症性ニキビを止めなければ、跡の治療は「いたちごっこ」になるからです。この記事では、イソトレチノインの仕組み・副作用・正しい使い方と、当院でのニキビ跡治療との組み合わせ方を解説します。

目次

  1. イソトレチノインとは|ニキビの4つの原因すべてに働く内服薬
  2. イソトレチノインは「ニキビ跡」に効くのか
  3. 副作用と注意点|必ず医師の管理下で
  4. 当院のイソトレチノイン治療の進め方
  5. イソトレチノインとニキビ跡治療の組み合わせ方
  6. イソトレチノインが向いている人・慎重に検討すべき人

イソトレチノインとは|ニキビの4つの原因すべてに働く内服薬

ニキビの4つの原因とイソトレチノインの作用
図1:ニキビの4つの原因とイソトレチノインの作用

イソトレチノインは、重症・難治性のニキビに対して最も効果的とされる内服薬で、ビタミンAの誘導体(レチノイド)の一種です。ニキビの原因は「皮脂の過剰分泌」「毛穴の詰まり」「アクネ菌」「炎症」の4つに整理されますが、イソトレチノインはこの4つすべてに働きます。

特に大きいのが、皮脂腺そのものを小さくする作用です。皮脂の分泌が大幅に抑えられることで、顔全体にニキビがある方でも、ニキビができにくい肌へ変わっていきます。アメリカでは保険適用の薬ですが、日本では保険適用外のため、自費診療での処方となります。

院長・世良は、保険診療の抗生剤を「腸内環境を乱し、耐性菌の問題もあり、思ったほど結果が出ない」と感じてきた経験から、繰り返す炎症性ニキビには「ニキビ跡になる前に、イソトレチノインを正しく使うこと」を早めに提案しています。

院長がこのテーマを動画で解説しています。

イソトレチノインは「ニキビ跡」に効くのか

ニキビ跡のタイプ別・イソトレチノインの位置づけ
図2:ニキビ跡のタイプ別・イソトレチノインの位置づけ

イソトレチノインは、できてしまったクレーターを持ち上げたり、色素沈着を消したりする薬ではありません。クレーターは真皮の癒着を剥がし、薬剤や熱で組織をつくり直す機器治療が必要です。

ただし、ニキビ跡治療においてイソトレチノインが果たす役割は非常に大きいものです。顔全体に炎症性ニキビやしこりニキビが繰り返している状態でクレーター治療を始めても、治したそばから新しいニキビが跡になり、「いたちごっこ」になります。院長・世良は、こうした方にはまずイソトレチノインでニキビを根本から抑え、ニキビができにくくなってからニキビ跡治療に専念する、あるいは状態によっては並行する、という進め方をしています。

また、イソトレチノインで皮脂が減り、肌の状態が落ち着くと、赤みや肌全体のトーンが改善して見える方も多くいます。これは「跡が治った」のではなく「新しい炎症が減った」結果ですが、その後の跡の治療の治りにも良い影響があります。

副作用と注意点|必ず医師の管理下で

イソトレチノインの主な副作用・注意点
図3:イソトレチノインの主な副作用・注意点

イソトレチノインは正しく使えば非常に有効な薬ですが、使い方を誤ると怖い薬でもあります。最も重要なのが催奇形性で、内服中の妊娠は絶対に避けなければならず、妊娠中・妊娠を希望している方は使用できません。

また、肝機能・脂質(コレステロール)・電解質の数値が乱れやすいため、当院では内服前に必ず血液検査を行い、内服中も月に1回を目安に採血し、電解質・肝酵素・コレステロールなどの数値の変化を確認します。最も多い副作用は乾燥で、唇はもちろん、腕や体まで粉をふくほど乾燥することがあり、保湿が欠かせません。

そのほか、抑うつ傾向や、潰瘍性大腸炎・クローン病などの炎症性腸疾患との関連も報告されており、精神面や体調の変化がないかを継続的に確認する必要があります。個人輸入で自己判断で内服し、知らないうちに肝臓にダメージを与えているケースを院長は非常に心配しています。

イソトレチノインは、ニキビの原因を知り、副作用を理解し、適量を見極められる医師のもとで使う薬です。「ニキビが治るすごい薬」という情報だけで自己判断しないでください。

当院のイソトレチノイン治療の進め方

当院でのイソトレチノイン内服の流れ(目安)
図4:当院でのイソトレチノイン内服の流れ(目安)

当院では、イソトレチノインを処方する方には2週間に1回のご来院をお願いしています。これは、院長が毎回肌の状態を診て「今回は少し量を上げよう」「今回は据え置こう」と判断するためです。イソトレチノインには、内服初期に一時的にニキビが悪化する「好転反応」の時期があり、そのタイミングで量を上げ続けると悪化してしまうことがあります。

来院時には、ハイドラジェントルで毛穴の皮脂汚れを落とし、エレクトロポレーション(メソナJ)で美容成分を入れて鎮静・保湿します。これは「薬だけ渡して本人任せにすると、飲んだり飲まなかったりで効果も副作用も分からなくなる」ことを防ぐためでもあります。

16歳以上(成長期が終わってから)が目安で、年齢に合わせて処方を調整します。

SERA BEAUTY CLINIC 院長 世良融子Dr.世良
ニキビとニキビ跡を同時に治療(内服3ヶ月目)
ニキビ
ニキビ跡 症例 イソトレチノイン内服+ハイドラジェントル・メソナJ+キュアジェット 治療前と3ヶ月後
治療前 → 3ヶ月後|イソトレチノイン5mg→30mg内服3ヶ月目+ハイドラジェントル・メソナJ2週に1回+キュアジェット月1回
【リスク・副作用】赤み・腫れ・熱感・内出血・かさぶた・色素沈着・乾燥など(施術により異なる)
【治療内容】イソトレチノイン内服+ハイドラジェントル・メソナJ+キュアジェット
施術医:世良 融子(SERA BEAUTY CLINIC 院長)
@sera_beauty_clinic @dr.sera_y

症例の詳細:ニキビとニキビ跡を同時治療。好転反応を初期に認め用量調整。採血は月1回(電解質・肝酵素・コレステロール)。最低6ヶ月内服を推奨。

イソトレチノインとニキビ跡治療の組み合わせ方

ニキビもニキビ跡もある方のモデルスケジュール(例)
図5:ニキビもニキビ跡もある方のモデルスケジュール(例)
トライフィル(Trifill Pro)|CO2マイクロサブシジョン
トライフィル(Trifill Pro)|CO2マイクロサブシジョン
キュアジェット(CureJet)|ジェット噴流による剥離・薬剤導入
キュアジェット(CureJet)|ジェット噴流による剥離・薬剤導入
ポテンツァ(POTENZA)|マイクロニードルRF
ポテンツァ(POTENZA)|マイクロニードルRF

院長・世良が症例解説で紹介しているケースでは、顔全体にしこりニキビと熱をもったニキビが繰り返していた方に対し、最初はトライフィル+ポテンツァで跡の治療を始めたものの、新しいニキビが次々できるため一旦中断し、イソトレチノイン内服に切り替えました。2週間に1回のハイドラジェントルとエレクトロポレーションを続け、ニキビができにくくなった段階で、部分的なアイスピック型のクレーターにはキュアジェットを月1回並行して行っています。

また別の症例では、他院でニードルRFを受けても改善しなかった方に、まずイソトレチノイン・ハイドラジェントル・エレクトロポレーションを半年続け、その後トライフィル+ポテンツァを行い、赤み・毛穴・トーンの改善から、現在もクレーター治療を月1回継続しています。

このように、当院では「ニキビを止める段階」と「跡を治す段階」を分けつつ、状態によっては並行させることで、少しでも早く結果を出すことを目指しています。どちらを先にするか、並行できるかは、肌診断とカウンセリングで判断します。

SERA BEAUTY CLINIC 院長 世良融子Dr.世良
イソトレチノイン6ヶ月とニキビ跡治療の並行
ニキビ
ニキビ跡 症例 イソトレチノイン内服+ハイドラジェントル・エレクトロポレーション+トライフィル×ポテンツァ 治療前と6ヶ月後
治療前 → 6ヶ月後|イソトレチノイン5mg→MAX40mg 6ヶ月+ハイドラジェントル・エレクトロポレーション2週に1回+トライフィル・ポテンツァ月1回
【リスク・副作用】赤み・腫れ・熱感・内出血・かさぶた・色素沈着・乾燥など(施術により異なる)
【治療内容】イソトレチノイン内服+ハイドラジェントル・エレクトロポレーション+トライフィル×ポテンツァ
施術医:世良 融子(SERA BEAUTY CLINIC 院長)
@sera_beauty_clinic @dr.sera_y

症例の詳細:好転反応・乾燥を確認しつつ血液検査で問題ないことを確認し徐々に増量。

SERA BEAUTY CLINIC 院長 世良融子Dr.世良
長年のニキビ・ニキビ跡を半年で
ニキビ
ニキビ跡 症例 イソトレチノイン内服+2週に1回ケア+セラビ式ニキビ跡治療 治療前と6ヶ月後
治療前 → 6ヶ月後|イソトレチノイン5mg→30mg内服6ヶ月+2週に1回ケア+セラビ式ニキビ跡治療月1回
【リスク・副作用】赤み・腫れ・熱感・内出血・かさぶた・色素沈着・乾燥など(施術により異なる)
【治療内容】イソトレチノイン内服+2週に1回ケア+セラビ式ニキビ跡治療
施術医:世良 融子(SERA BEAUTY CLINIC 院長)
@sera_beauty_clinic @dr.sera_y

症例の詳細:長年のニキビ・ニキビ跡を同時に治療。採血月1回。

院長がこのテーマを動画で解説しています。

イソトレチノインが向いている人・慎重に検討すべき人

イソトレチノインの適応の考え方
図6:イソトレチノインの適応の考え方

イソトレチノインは、繰り返し何個もニキビができる方、フェイスラインにしこりのようなニキビができる方、背中など体のニキビに悩む方に特に効果的です。また、抗生剤や外用薬を続けても改善せず、ニキビ跡がどんどん増えている方には、跡を増やさないために早めの選択肢となります。

一方で、妊娠中・授乳中・妊娠を希望している方は使用できません。肝機能や脂質に問題がある方、炎症性腸疾患やうつ病の既往がある方、16歳未満の方は慎重な判断が必要です。また、2週間に1回の通院と定期的な採血ができないと安全に続けられないため、ライフスタイルも含めて相談のうえ決めていきます。

よくある質問

Q. イソトレチノインを飲むとクレーターは治りますか?

A. 治りません。イソトレチノインはニキビを根本から抑える薬で、クレーターを持ち上げる作用はありません。クレーターにはトライフィル・キュアジェット・ポテンツァなどの機器治療が必要です。

Q. 個人輸入で買ったイソトレチノインを飲んでいます。問題ありますか?

A. 非常に危険です。肝機能・脂質・電解質への影響や催奇形性があり、血液検査なしで内服を続けると、知らないうちに体に負担がかかります。必ず医師の処方と検査のもとで使用してください。

まとめ

  • イソトレチノインは皮脂腺を小さくし、ニキビの4つの原因すべてに働く内服薬。日本では自費
  • できてしまったクレーター・色素沈着を直接治す薬ではないが、「新しい跡を増やさない」ために重要
  • 催奇形性・肝機能・脂質・乾燥・好転反応などの副作用があり、血液検査と2週間に1回の診察が必須。個人輸入は危険
  • 当院では、ニキビを止める段階と跡を治す段階を分けつつ、状態により並行して進める

SERA BEAUTY CLINICでは、イソトレチノインの処方とニキビ跡治療を一貫して行っています。「ニキビも跡も両方ある」という方は、まずカウンセリングで肌の状態と進め方をご相談ください。

この記事の監修

SERA BEAUTY CLINIC 院長 世良 融子(せら ゆうこ)
2018年 川崎医科大学卒業/川崎医科大学附属病院勤務。2020年 同附属病院 泌尿器科学 臨床助教、同年 品川美容外科入職。2021年 品川美容外科 品川本院 部長。2024年 SERA BEAUTY CLINIC 院長。
所属学会:日本美容外科学会、日本抗加齢医学会、日本泌尿器科学会
主な学会発表・講演:2022年8月 第40回日本美容皮膚科学会総会・学術大会 講演「マイクロニードルRF治療機POTENZA導入後の当院での治療実績」/2023年5月 KALDAT(韓国レーザー皮膚毛髪学会)発表・パネルディスカッション

※ニキビ跡治療は自由診療(保険適用外)です。本記事で紹介する機器・医薬品には、国内で未承認のものが含まれる場合があります。効果・ダウンタイムには個人差があり、リスク・副作用については診察時に医師が説明します。

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